自分を騙して不眠を乗り越えた話。イメトレって大切だと思う。
私は不眠症の分類に入る、はず。
布団に入る→自分を騙すために全力で寝たふりをする→気付いたら寝てる→朝が来る
「自分を騙す」ということが大きな鍵だと気付いたのは高校2年生の3学期だった。
在学していた高校の卒業式には全学年が出席するのが伝統。
私は1年生のころから先輩の卒業式に出るのは億劫だった、心から嫌だった。
その理由は1つ、お腹が鳴るから。
練習のときから必ずお腹が鳴る、別に空腹なわけでもお腹を壊しているわけでもなくお腹が鳴る。1回だったらまだいい、2回でもまだいいよ、数えればきりがないほどお腹が鳴った。
朝ごはんを吐くほど食べてもお腹が鳴る。「朝うどんを食べると腹もち良いよ」と言われればうどんを食べたし、練習前にこっそりトイレでカロリーメイトだって食べた。なにをやってもダメだった。
高校2年の3学期、前年度の経験を生かして朝ごはんを目一杯食べ、直前にカロリーメイトを食べ、リプトンのミルクティー500mlを一気飲みした。やれることを全部やった。
それでも厳かな空気のなか「ぐぅううううううう!!!!!」「俺はここにいるぜぇえええ!」と言うように全力でお腹が鳴った。
練習のたび「また!?」「〇〇先生も先輩もあんたのこと見てたよ」と友達に言われた。
結局解決できず本番の日を迎えた。「今日もお腹が鳴ってしまうのではないか」「先輩たちのお母さんたちに白い目で見られる…」と緊張で朝ごはんが食べられなかった。
卒業生の入場曲が流れると待ってましたと言わんばかりにお腹が鳴り始めた。そのとき頭のなかで誰かの声がした
「今御飯を食べてることにすればいいんじゃない?」
正直、おったまげた。おったまげすぎてお腹の音が盛大になった。先生や保護者が一斉に私の顔を見る。
なんとかしよう。御飯を食べていることにするためにはどうすればいいんだろう。。。「ガムだ!!!」
一生懸命ガムを噛んでいるようにリズミカルに自分の舌を噛んだ。唾液がドバドバ出てくる。頭のなかではバブリシャス(グレープ)を噛んでるイメージ。テンポ良く噛めば噛むほど唾液はどんどん出てきてなんだか幸せな気持ちになった。
そこから卒業式が終わるまで一度もお腹はならなかった。
その代わり先生に盛大に叱られた。
「卒業式中にガムを噛んでいた」と勘違いされ、どんなに自分を騙すためだと説明しても信じてもらうことはできなかった。
とても悲しかったけど、自分を騙すことで上手くいくことが増えそうでこれから先の人生を明るく捉えられるようになった。
※あのときお腹が鳴った理由は今でもわからない。
卒業式を乗り越えた私は「この方法で次は不眠を乗り越えてやる」と気合いを入れ、あらゆる方法で自分を騙した。
・セルフなでなで
ひたすら頭を撫でて自分を寝かしつける
→毛先のゴワつき(当時は毛があった)が気になって眠れなかった
・セルフとんとん
子どもを寝かしつけるように自分をとんとんっと一定のリズムでたたく
→リズムを刻むのが楽しくなってしまい、8ビートやワルツ、スウィングなどあらゆるリズムに挑戦しはじめ楽しくて眠れなかったので断念
・セルフ子守唄
子守唄を自分に向けて歌う
→歌詞がわからくなって調べはじめて眠れないのでアウト
こんな感じで試行錯誤した結果たどり着いのは「寝たふり」。
自分を騙すためには本気で騙しにかからなくてはいけなかった、「ガム作戦」を振り返ると頭の中で大好きだったバブリシャス(当時主食だった)の味を想像してリズミカルに嚼み、頭のなかで風船ガムまでしてた。
しかし、「セルフ」シリーズは自分を自分であやしてる状態なので自分と一体化していないことに気づいた。「こうしとけば寝るだろう」というスタンスは禁物。そこに気づくまでおよそ1年かかった。
「寝たふり」は自分との本気の戦いだった、眠っているときの呼吸を再現したり、いびきをかいてみたり、よだれを自然とたらしてみたり。でも何よりも自分を騙していたのは頭のなかでする「夢」のイメージだった。
寝ているときに見る「夢」をイメージすることで一発だった。
よくスポーツ選手は「イメージトレーニングが大事」っていうけどあれは本当だと思う。いかにイメージで自分を騙しイメージと一体化することでなんでもできるようになるわけですよ。
イメトレってすげぇんだぜ!
とはいえ、今夜久しぶりに自分を騙すのに失敗してまったく眠れず朝を迎えようとしています。
小鳥のさえずりが聞こえる。あはは。